🎥 教材:実写合成で一番大切なのは「〇〇」を残すこと
今回ベースにするのは、普通のありふれたストリートの実写映像を、3DCGを駆使して「完全に別の惑星のサイバーパンク都市」に変えてしまう、驚きのVFXメイキング動画です。
※「全部CGで作ればいいじゃん」は大間違い? プロが実写とCGを馴染ませるためにやっている「地味だけど確実なテクニック」を紐解きます。
1. ぜんぶグリーンバックにしてはいけない理由

マヤちゃん:「先生! この動画、普通のコンクリートの道を歩いてる自撮り映像が、最終的に『ブレードランナー』みたいなゴリゴリのSF都市になっててびっくりしました!」

ハコウマ先生:「見事なセットエクステンション(背景拡張)だね。マヤちゃん、この動画のクリエイターが、CGを合成する前に**『実写の映像からあえて残したもの』**があるんだが、なんだかわかるかい?」

マヤちゃん:「えっと……あ、『地面(歩いている床)』ですね! 両サイドの建物は全部CGに置き換わってるのに、足元のコンクリートのタイルだけは本物の映像のままです。」

ハコウマ先生:「大正解。『ゲーム・オブ・スローンズ』や『スター・ウォーズ』などのメイキングでもよく見る手法だ。背景の空や遠くの山をCGに置き換えるのは比較的簡単だが、『キャラクターが直接触れるもの(地面)』をCGにするのは地獄のように難しいんだよ。」

マヤちゃん:「あ〜! 足と地面の接地感とか、落ちる影(コンタクトシャドウ)をCGで完璧に合わせなきゃいけなくなるからですね!」

ハコウマ先生:「その通り。だから、たとえ周囲が全面グリーンスクリーンだったとしても、役者が歩く『床』だけは本物のセットやロケ地の地面をそのまま使うのが、ハリウッドのセオリーであり、VFXアーティストを地獄から救う最善の策なんだ。」
2. CGの質感を上げる「不完全さ」のスパイス

マヤちゃん:「動画では『CGTrader』っていうサイトから、建物の3Dモデルやロボットの素材をたくさんダウンロードして配置してましたね。やっぱりゼロから全部モデリングしないんですね。」

ハコウマ先生:「高品質なアセット(素材)を買って時間を節約し、その分『画作り(レイアウトやライティング)』に時間を割くのは賢いやり方だ。ただ、買ってきた綺麗なCGモデルをそのまま置いただけだと、いかにも『作り物』っぽくなってしまう。」

ハコウマ先生:「そこで彼は、建物の壁に写真ベースのテクスチャを貼って、コンクリートの水漏れのようなムラ(グランジ)を追加したり、Google画像検索で拾ってきた『NO FUTURE』というスプレーの落書き(グラフィティ)を合成したりして、画面に『生活感』や『汚れ』を足していったんだ。」

マヤちゃん:「綺麗なCGをわざわざ汚すんですね! ロボットの動きも面白かったです。まさかの『歩行器(お年寄りが使うやつ)』のアニメーションデータを機械のロボットに適用してて、すごくキャラクター性が出てました!」
3. 最後の仕上げは「Nuke」で。コンポジット(合成)の魔法

ハコウマ先生:「CGソフト(Blender)での作業が終わったら、次はいよいよ合成ソフト(Nuke)での仕上げだ。ここからがコンポジターの腕の見せ所だよ。」

マヤちゃん:「動画では、実写の自分を切り抜く(ロトスコープする)ためにAIツールを使おうとしてましたけど、結局失敗して、1時間かけて手作業でマスクを切ってましたね……。AI時代でも最後は根性なんですね(笑)。」

ハコウマ先生:「はっはっは。境界線のチカチカ(フリッカー)はどうしても手作業で直さなきゃいけないことが多いからね。さらに彼は、エッジ・エクステンションという技術を使って、切り抜いた境界線に残る『元の背景の緑っぽい色』を、ジャケットのグレー色に置き換えて馴染ませていた。非常に丁寧な仕事だ。」

ハコウマ先生:「それに、空からの光が建物に回り込む効果(ライトラップとブルーム)を足したり、画面の四角に色収差(色ズレ)やレンズのぼやけを追加することで、『完璧すぎるCG』を『カメラのレンズを通した光学的な映像』に劣化させているんだ。」
4. 画面を「生きた世界」にするための2D素材

マヤちゃん:「最後に、背景のビルにChat GPTで作らせた『サイバーパンク風の広告』を合成して、空に鳥を飛ばして、煙突から煙を出してましたよね! あれが加わった瞬間、急に世界が生き生きし始めました!」

ハコウマ先生:「鳥や煙をわざわざ3DCGでシミュレーションするのは時間がかかりすぎる。だから彼は、実写の『2D素材』をポンと背景に置いて、色を調整し、ピントをぼかして馴染ませただけだ。たった数分の作業で、画面のリアリティと情報量が跳ね上がるんだよ。」
結論:VFXは「引き算」と「足し算」のバランス

マヤちゃん:「ただCGを盛るだけじゃなくて、実写の地面を残したり、CGを汚したり、光学的なアラ(色収差など)を足したり……VFXって、ものすごく計算された『引き算と足し算』なんですね。」

ハコウマ先生:「その通りだ。高品質なアセットとAIのおかげで、個人でもハリウッド級の背景が作れるようになった。だが最後は、アーティストの『観察眼』と『根気(ロトスコープ)』がモノを言う。マヤちゃんも、まずは近所の道をスマホで撮って、サイバーパンク都市に改造してみてはどうだい?」

マヤちゃん:「やります! まずは……1時間かけて自分を切り抜く修行からスタートですね……!(白目)」

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