【Nuke/ACES入門・中編】「色空間」の3大要素を暴け! 色域・白色点・伝達関数って何?

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🎥 復習:色は「地図」の上で管理されている

全3回でお届けする、The Foundry社のVictor Perez氏による「NukeのカラーマネジメントとACESワークフロー」の超ディープな解説シリーズ。今回はその「中編」です。

※前編では、人間の目が見えるすべての色を2次元のグラフにした「CIE xy色度図」について学びました。今回はその地図の中に「三角形」を描いていきます!

(参考資料:https://www.youtube.com/watch?v=Hlj5ep-85ys)


1. 限界を決める三角形「色域(Gamut)」

マヤちゃん
マヤちゃん

マヤちゃん:「先生! 前編で学んだ『CIE xy色度図(人間の目の限界を示すカラフルなグラフ)』の中に、よく『三角形』が描かれてるのを見ます。あれって何なんですか?」

ハコウマ先生
ハコウマ先生

ハコウマ先生:「良いところに気がついたね。その三角形こそが『色域(Gamut / ガンット)』だ。色空間を定義するための1つ目の重要要素だよ。」

ハコウマ先生
ハコウマ先生

ハコウマ先生:「三角形の3つの頂点は、それぞれ『赤(Red)、緑(Green)、青(Blue)』の3原色の最大強度を示している。この三角形の内側にある色だけが、そのカメラが記録できる色であり、そのモニターが発色できる色の限界なんだ。」

マヤちゃん
マヤちゃん

マヤちゃん:「なるほど! 人間の目はもっと広い範囲(外枠)まで見えるけど、機械(モニターやカメラ)は技術的な限界があるから、この三角形の範囲しか扱えないってことですね!」


2. 真ん中にある「白」の正体(白色点とD65)

ハコウマ先生
ハコウマ先生

ハコウマ先生:「色空間を定義する2つ目の要素は、三角形の中心にある点……最も彩度が低い『白色点(ホワイトポイント)』だ。」

マヤちゃん
マヤちゃん

マヤちゃん:「白は白じゃないんですか? ただの無色透明っていうか……。」

ハコウマ先生
ハコウマ先生

ハコウマ先生:「ところがどっこい。鉄の針を火で熱すると、赤からオレンジ、そして青白く光る色に変わっていくだろう? 色の温度(ケルビン=K)によって『白』の定義は変わるんだ。人間の目は勝手に環境に合わせて『ここが白だ』と脳内補正してしまうが、デジタルの世界では絶対的な基準を決めないといけない。」

ハコウマ先生
ハコウマ先生

ハコウマ先生:「そこでRGB色空間で最もよく使われる基準が『D65』という白色点だ。これはヨーロッパ北西部の昼間の光(直射日光+拡散光)を基準にしたもので、色温度は約6500Kになる。」

マヤちゃん
マヤちゃん

マヤちゃん:「へえ! つまり、私たちが普段使っている『sRGB』っていう標準的な色空間は、【sRGB専用の三角形(色域)】+【D65の白色点】がセットになったもののことなんですね!」


3. 光をネジ曲げる! 第3の要素「伝達関数(ガンマとログ)」

ハコウマ先生
ハコウマ先生

ハコウマ先生:「さあ、色空間を定義する最後の3つ目の要素。これが一番の曲者だ。『伝達関数(Transfer Function)』だよ。」

マヤちゃん
マヤちゃん

マヤちゃん:「で、でんたつかんすう……? 一気に数学っぽくなってきました……。」

ハコウマ先生
ハコウマ先生

ハコウマ先生:「難しく考えるな。カメラのセンサーが受け取った『光の量』を、画像データとして『どう記録するか(どうマッピングするか)』を決めるルールのことだ。主に3つのカテゴリーがある。」

  • リニア(Linear):光の量をそのまま記録する。入出力が1:1(f(x) = x)の直線グラフ。CGソフト内の計算で使われる。
  • 対数関数(Log):暗い部分を持ち上げ、明るい部分を抑え込む「曲線」のグラフ。人間の目の感覚に近く、白飛びや黒つぶれを防ぐために映画用カメラ(ARRIのLogCなど)で使われる。
  • ガンマ関数(Gamma):もともと古い「ブラウン管(CRT)モニター」の特性を補正するために作られた曲線。sRGBやテレビ用のRec.709などで使われている。
マヤちゃん
マヤちゃん

マヤちゃん:「あ! つまり、カメラで撮った時点ですでに光のデータが『Log』や『Gamma』のカーブでネジ曲げられて保存されてるから、そのまま別のモニターで見ると色がおかしくなるってことですか!?」

ハコウマ先生
ハコウマ先生

ハコウマ先生:「その通りだ。だからこそ、『どの色域(三角形)』で、『どの白色点』を持ち、『どの伝達関数(カーブ)』で記録されたデータなのかを正確に読み解かないと、正しい色は再現できないんだ。」


4. 「LUT(ラット)」はただの辞書にすぎない

マヤちゃん
マヤちゃん

マヤちゃん:「じゃあ、そのネジ曲げられたデータを変換して正しく直してくれるのが『LUT(ルックアップテーブル)』なんですね!」

ハコウマ先生
ハコウマ先生

ハコウマ先生:「うむ、結果的にはそうなるが、Victor氏の解説で非常に重要なポイントがある。『LUTと伝達関数は、似ているが全く別物だ』ということだ。」

ハコウマ先生
ハコウマ先生

ハコウマ先生:「LUTというのは、構造化されたただの『データの配列(辞書)』にすぎない。『入力値が0.5なら、出力値は0.25にしろ』と、事前に計算された数字のリストだ。だから10ビットや32ビットといった高精度な画像をLUTに通すと、キーが足りない部分は補間(推測で間を埋める)されて精度が落ちることがある。」

マヤちゃん
マヤちゃん

マヤちゃん:「えっ、そうなんですか!? LUTって万能ツールじゃないんだ……。」

ハコウマ先生
ハコウマ先生

ハコウマ先生:「対して伝達関数は『数学的な数式』だ。どんなビット深度の画像でも、数式に当てはめれば常に正確な値が算出される。カラーマネジメントを正確に行うには、LUTのような『辞書』での変換ではなく、数式による完全な変換が求められるようになってきたんだ。」


次回予告:後編はいよいよ最強の救世主「ACES」登場!

マヤちゃん
マヤちゃん

マヤちゃん:「色域に、白色点に、伝達関数……。これだけバラバラのルールで作られた映像データを全部まとめ上げるなんて、考えるだけで発狂しそうです!!」

ハコウマ先生
ハコウマ先生

ハコウマ先生:「だからこそ、映画業界は長年この『色合わせの地獄』に苦しんできたんだよ。だが安心してくれ。ついに次回(後編)で、すべてのカオスを終わらせる最強のワークフロー『ACES(アカデミー・カラー・エンコーディング・システム)』の全貌を明らかにするぞ!」

(※最終回・後編へ続く!)

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